健康新聞 12月号

はじめに

 私は今年の6月までは、合志市の片隅の森の中にある国立病院機構菊池病院で、多くの認知症の診療を行っていました。 今から思うと非常に狭いフィールドで働いていたと思います。 8月1日に開院して、認知症の患者さんだけでなく、統合失調症、躁うつ病、不安障害、うつ病、摂食障害、適応障害、発達障害や不登校、出勤拒否、不妊、DVの患者さんを診察させていただき、心療内科や精神科の勉強以外に、多方面におよぶ社会勉強をさせていただいています。 また、パワハラ、ブラック企業がいかに多いか、患者さんを含めた現代人の栄養状態がいかに偏っているかということを実感させられます。 今後も栄養療法による皆様の心身状態の改善に努力していきたいと思います。

 なお、10月25日からフェイスブックを始めました。下記をご覧ください。
 https://www.facebook.com/kumamoto.mentalclinic

 年末・年始の休診は12月30日から1月3日までです。



河野和彦先生の熊本講演

 

 11月3日~4日にわたって、治療方法の1つである「コウノメソッド」で著名な名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生が熊本県立劇場でご講演されました。 今回は私が座長を務め、たまな在宅ネットワークの安成英文先生のご尽力により、多くの医療関係者、地域住民の方にご参加いただきました。 すでに「コウノメソッド」を採用されている県外の医療機関の方々、特に宮崎の日高先生や鹿児島の平山先生のご一行もお越しになりました。
 講演では、①介護者保護主義、②家庭天秤法(介護者が服薬量を調整する)、③サプリメントの活用を3本柱とした「コウノメソッド」についてお話しいただきました。 認知症関連の学会は、抗認知症薬以外の向精神薬をなるべく使用せず、メンタルケアで介護するように主張しています。 しかし、患者さんに行動障害があると、介護者は夜も眠れずに疲弊してしまい、メンタルケアを行う余裕がありません。 その代わりに、ごく少量の抗精神病薬を使用することにより、副作用なく症状と介護負担を改善できるのです。 動画では、多剤処方の中で、抗認知症薬、向精神薬、抗パーキンソン薬、抗コリン薬などの減薬・調整により劇的に元気になった患者さんや、 グルタチオン点滴により15分後に歩行障害が改善した患者さんが紹介され、その改善ぶりに聴講者の方々は驚嘆の声を挙げていらっしゃいました。 また、参加されたあるケアマネージャーは、「今までの認知症医療・介護の概念が一新された、大学主導で行われた事例検討会を含めた教育システムはいったい何だったのでしょうか」とおっしゃっていました。 今後も河野先生に来熊していただき、患者さんとそのご家族のために「コウノメソッド」に基づく認知症医療を広めていきたいと思います。



産後うつ、パニック障害について

 ある日、産後の方が来院されました。出産後6kg体重が減少し、不眠、頭痛、頚部の痛み、四肢の痛みやしびれ、 動悸、息苦しさ、嘔気、食欲低下、不安感、イライラ、気分の落ち込みなどが出現してきたと訴えられました。 そのため、心療内科、精神科、神経内科、産婦人科などの様々な医療機関を受診され、「特に異常はない」「パニック障害か?」と言われ続けました。 通常、1回の出産によりフェリチン(貯蔵鉄)が約50低下します。この方は、出産前は元気でしたが、 出産を契機にパニック症状を含めた多彩な症状が出現し母乳も出ず、鉄・蛋白質欠乏が明らかな質的栄養障害でした。

 2000年の厚労省「健やか親子21検討会報告書」によれば、産後うつ病の発症率は13.4%、2005年の発表では12.8%でした。 妊産婦のおよそ7~8人に1人は、産後うつ病に悩んでいます。また、2015~2016年には産後うつ病により92名の自殺が発生しています。 出産直後は、女性ホルモンの分泌量が急激に低下し、ホルモンバランスの異常に襲われるので、さらに情緒が不安定になります。 そして、睡眠が十分に取れない、家にこもりがちになり気分転換ができない、育児が思い通り進まない、夫に理解されないストレスに悩む、 孤独感が強まるなどの症状が現れます。ある専門家は、「授乳中でも飲める安全性の高い抗うつ薬もあるので、医師のアドバイスを受けたいし、 磁気を用いて脳の特定の部位の血流を増加させ、機能回復させるTMS(経頭蓋磁気刺激法)という治療法もある」と述べています。 しかし、産後うつ病は、鉄・蛋白質不足を補うことで多くの患者さんは改善するのに、TMS治療まで行うというのは過剰医療ではないでしょうか。 栄養療法により92名の方も救えた可能性があります。やはり、産後のうつやパニック障害の治療には栄養療法を取り入れるべきですし、 それらの予防のために妊娠前からの栄養状態の管理が重要だと思います。



編集後記

 クリスマスというと、約55年前の保育園の時のことが浮かんできます。12月25日の朝礼で、先生が私たち園児に 「きのう、プレゼントをもらった人は手を挙げてください」と言うと、ほとんどの園児が挙手しましたが、 私はもらってなかったので手を挙げることができませんでした。 先生や周りの子から「きむらくんはプレゼントがないんだ」と思われたのではと、ちょっとさびしい気分でした。 ですが、25日の夜に、ケーキを食べて、プレゼントはもらいました。私の両親は、クリスマスは25日に行うべきものと考えていたようです。 この年になっても、なんとなくこころに残っている思い出です。さて、皆さんは、今年はどんなクリスマスを迎えられるのでしょうか。


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